ラフティングに魅了され、仕事を変えて大豊町へ移住した武安さん。
ガイドとして働くなかで感じた「この町には、ラフティング以外体験するものがない」という気づきが、べんがら染め体験、そして一棟貸しの宿へとつながっていきました。
現在は3人の子どもを育てながら、仕事も暮らしも自分たちのペースで続けています。
大豊町での仕事づくりと子育て、そのリアルな話を伺いました。

武安 亜希子(たけやす あきこ)さん / 2008年 大豊町移住
ラフティングに惹かれて、大豊町へ
―――大豊町に移住したのは、いつ頃で、どんなきっかけだったんですか?
2008年の春だったと思います。
大豊町ってラフティングが有名なんですけど、きっかけはそのラフティングに魅了されまして。職ごと変えたというか、ガイドになりたくてこっちに移住を決めた感じですね。遊びで何回か来てるうちに、もう完全にハマっちゃって。
川もそうですし、ガイドしてる人たちに接客してもらったときに、「こういう生き方もあるんだな」って思ったのが大きかったですね。
それまでは広島で、空港の接客業をしてました。
どっちかというと、きっちりした仕事で、体験系とは全然ちがう感じです。
その頃住んでた場所も田舎ではあったんですけど、ここまでではなかったですね(笑) 実際ガイドをはじめたくらいのときは若かったんで、特に不便さも感じることもなかったし、楽しい勢いで暮らしていた気はしますね。
しいていうなら高知に来て感じたのは、季節がすごくはっきりしてること。
雨とか、暑さとか寒さとか、仕事も暮らしもそこに左右されるなって思いました。
「ないなら、つくろう」から始まった仕事
―――ラフティングガイドを辞めて、今の仕事につながったきっかけは?
ラフティングのガイドは、5〜6年くらいやりましたね。
夏がメインで、冬はオフになるんで、その時期は北に行って雪山行ったり、南半球に行ってラフティングしたり、あとは旅行したり。で、春になったらまたこっちに戻ってくる、みたいな生活でした。
ラフティングがきっかけで今の旦那と出会って、出産をきっかけに、わたしはラフティングから一旦離れたんですけど、その前からずっと思ってたことがあって。
ラフティングは有名で、お客さんはたくさん来てくれるけど、ここらへんってそれ以外の体験アクティビティがないんですよね。
ラフティングしたあと、昼から何しようってなった方に何かありませんか?って聞かれることも多くて。
一緒に来たおじいちゃんおばあちゃんは待ってるだけ。
まだ乗れない小さい子も待ってるだけ。
妊婦のお母さんも待ってるだけ、みたいな状況が結構あったんです。
インドアのアクティビティがここらへんにあったらいいのになぁって、ずっと思ってました。
それで、藍染め体験をちょっとやってみたら、「これ、いいな」って思って。
調べて勉強して、たどり着いたのが、土の成分を使うベンガラ染めでした。これだったら、大豊のものでできるなって思って、勉強して始めましたね。どこかに働きに出るというより、自分で仕事つくろうかな、って感覚でした。
最初はタイミングよく、 じゃらんとかJTBの起業した人をサポートするみたいな事業があって、それにちょうど乗っからせてもらって。コロナの頃だったんですけど、 コロナで逆に忙しくなるというか。少人数で来て染め物体験するっていうグループが多くて、 結構順調に始まったんですよ。
子育てしながら続ける、今の働き方
―――つい最近宿泊業を始めたとお聞きしましたが?
そうなんです。この8月(2025年)からべんがら染めも体験できる一棟貸しの宿”つちといろ“をはじめました。
宿は、元々やりたいなとは思ってたんですけど、物件がなくて。
そしたらちょうど話をもらって、「これはいいな」って、ポンポンポンって動いた感じです。
実は10年くらい前に、この物件に住もうかなって思ったことがあったんですよ。でも、その時は子ども3人にしてはちょっと狭いな、と思ってやめたんです。それがまた縁がつながって、去年まで住んでた人がこの家を出るってなって。仲介に入ってくれた近所のおじちゃんが「どう?」って連絡くれたので「いります!」って即答。それから手入れして宿泊できるようにしましたね。
隣のガレージではべんがら染め体験をできるようにもしました。
宿は非対面にしています。私自身、泊まる側だったら非対面の方が気が楽だなっていう理由で選んだんですけど、思ってた以上にお客さんが来てくれててよかったなって日々感じてます。
夏場はやはりラフティングのお客さんが多いです。大豊自体宿は結構あるんですけど、それでも意外と足りていないんですよね。
ここは掃除も管理も全部一人でやっているので、てんてこまいになる時もありますけど、子育てしながらできるギリギリラインで頑張ってます。
大豊での暮らしと、正直な気持ち
―――大豊での暮らしや子育てについて、実際に住んでみて感じていることを教えてください。
子どもは3人いて、小学生2人と保育園生です。
まだまだ子育ては続きます(笑)。
今わたしたちが住んでる場所は、家と家が離れすぎてて、子どもたちだけで遊びに行くのが難しい環境ではあるんです。親同士が連絡取り合ってからじゃないと行けないし、それはちょっと大変だな、かわいそうだなって思うこともあります。
でも、コロナのときに思ったのは、ここはステイホームしなくていい環境だったなって。外に出ても誰もいないし、あの時期に外に出られるって、全然ちがいましたね。
ご近所さんには本当によくしてもらっています。野菜くれたり、鹿肉くれたり、何かあったら助けてくれる。関係はすごくいい感じです。
大豊の魅力は、何にもないところかもしれないです。意外と市内も近いし、Amazonも届くし。
あと、子ども産んでから気づいたんですけど、子育て支援が本当に手厚い。
保育料も給食費もかからないし、制服とか体操服も支給してくれる。ありがたいなって思います。
移住相談を受けることもありますけど、正直、何言っても分からないですよね。やってみなきゃ始まらないし、それぞれ思うこともバラバラですしね。でも、私はここで暮らして、仕事も子育ても続けられているので。
湿気が多いよ、カビ生えるよ、ぐらいは言いますけど(笑)






