好きだから夢中になれる。夢中になるから、毎日が面白い。
高知・本山町に移住し、アウトドアと地域づくりを掛け合わせて活動する阿比留さん。
自然のなかで働く日々と、そこで見つけた新しい“暮らしのかたち”を追いました。

阿比留 憲司(あびる けんじ)さん / 2024年5月 本山町移住
本山町へ移住したきっかけ
―――移住をしようと思ったきっかけは、どんなことだったんですか?
以前は兵庫県で、地域と関わりながら民泊事業をしていました。ただ、コロナ禍で地域のお祭りや交流の場がなくなってしまって……。思うように活動ができず「なんか全然うまく回ってないなあ」って、ぼんやり過ごす日々が続いていました。
そんなときにふと「どこかで一度リセットしてもいいのかも」と考えはじめたんです。
そのタイミングで見つけたのが、本山町の地域おこし協力隊でした。もともと、民泊とあわせてサイクリング事業にも取り組んでいたこともあり、「次の場所でも自分のスキルを活かせるところがいいな」と思っていたので、本山町の“アウトドア事業推進員”というミッションは、まさにぴったりだったんです。
―――たくさんある町の中で、本山町をどうやって見つけたんですか?
当時、「アウトドア 協力隊」とか「アウトドア 採用」っていうキーワードでネット検索していたんです。
そこで見つけたのが、山口県のある地域と、この本山町でした。
実際に現地には来ていなかったんですけど、実家が愛媛なので、四国の田舎の雰囲気はなんとなく想像できたんですよね。その安心感もあって、「じゃあ、ここにしてみようかな」と決めました。
mont-bell のある町で、アウトドアの夢が現実に
―――ここに決めよう!と、移住を決断するにあたって何か後押しになったものはありましたか?
自分の場合はやっぱり、“アウトドア”を通じて地域を盛り上げていけるという点が大きかったですね。
本山町には、アウトドアブランドとして有名な「mont-bell(モンベル)」の施設があって、そこを拠点にさまざまな活動ができるのも魅力でした。ラフティングやサイクリングなどのアクティビティも用意されていて、アウトドアに特化した企画が立てやすい環境なんです。
しかも、自分たちのやりたい企画に対して、役場がしっかりと後押ししてくれる体制がある。
「ここなら自分の経験やスキルを活かせるな」と、自然に気持ちが固まりました。
「好きに囲まれた暮らし」に、心も自然と根づいていく
―――移住する前と後とでは、心境の変化はどうですか?
ここに暮らし始めてまず思ったのが、やっぱり環境がいいってことですね。今住んでいる家から吉野川が見えて、毎日夕日がすごく綺麗で感動します。
それに、もともと山城が好きだったんですけど、それがすぐ行ける距離にあるのもすごくいいなって。好きなものに囲まれて暮らすのって、やっぱり満たされますね。
兵庫に元々家はあるんですけど、今は「家って何個あってもいいな」って思うようになって。こっちに来てもうすぐ2年になるんですが、今では「暮らしのメインは高知にしたいな」って、自然と気持ちが傾いてきました。
“ここでしかできない体験”をかたちに
―――今はどんな仕事をされていますか?
ひと月のうち、地域おこし協力隊として働く日数の半分は、mont-bellの店舗で勤務しています。もう半分は、自分の企画づくりや地域との連携活動にあてています。企画を立ち上げると、フライヤーなどの広報物も自分で考えて作るので、すごくやりがいがありますね。
最近では、本山町でまち歩きイベントをしていた地元の団体の方々とご縁ができて、一緒に新しい取り組みを始めようとしています。というのも、僕は昔から山城が好きで、この町にも「本山城」という史跡があるんです。採用面接のときにも「本山城を活かした企画がしたい」と話していたのですが、その想いを覚えてくれていて、団体の方と繋いでいただけました。
地元の方々のお話は本当に面白いです。「昔はここにこんな建物があった」「この山に雲がかかったら雨が降るよ」といった暮らしの知恵や歴史の話は、ガイドブックには載っていないものばかり。
そういった話を僕自身も受け継ぎながら、本山町を訪れた人にも伝えていきたい。この場所だからこそできる体験をもっと企画して、町の魅力を引き出していけたらと思っています。






