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日々“生きている”実感がする暮らしを求め。

都会を離れ、土佐町で林業に出会った一人の移住者。未経験から始めた地域おこし協力隊の体験は、自然とともに生きる喜びを教えてくれました。林業を仕事にしたい、地方で暮らしたい
——そんな方へのヒントになるはずです。

長友 航(ながとも わたる)さん / 2020 年5月 土佐町移住

土佐町へ移住したきっかけ


―――移住を考えるようになったきっかけを教えてください。

前職では「地域密着型で、目の前のお客さんのためにできること」という自分の理想と、企業の理念が一致していたので地方企業へ入職しました。けれど実際の現場では、売上など“数字”を追うことが多く、そのギャップに違和感を覚えてしまって……。3年目を迎える前に退職を決意しました。

その後は公務員を目指して勉強していたのですが「一次産業に携わってみたい」という気持ちもあったので、インターンシップを利用し、土佐町を2度訪問しました。体験したのは、畜産と林業の2つの分野ですね。

なかでも林業のインターン中に、実際にチェンソーを使って木を切った瞬間の迫力が、本当に忘れられないくらい衝撃的で……。その1日を無事に終えたときの達成感や、「生きている」と実感できる感覚が、身体中に満ちていたんです。

「この感覚をもっと味わいたい」
そう強く思えたことが、移住の一番のきっかけになりました。


―――そもそも、土佐町のことはどうやって知ったんですか?

ネットで『一次産業 インターン』って検索したら、ヒットしたのが土佐町で。実はそのときまで四国に来たことがなくて、インターンで初めて来たんですよ。

もともと、祖父が田んぼをしていたり、親戚が畜産農家をしていたこともあって、“いつかは田舎で暮らしてみたい”という気持ちがどこかにあったんだと思います。だから、土佐町でのインターンにもすんなり気持ちが向いて、自然とつながっていきましたね。

思っていたより、ちょうどいい距離感


―――移住を決断するには勇気が必要だったと思うのですが、何か後押しになったものはありましたか?

慣れない土地での生活や仕事を続けてこられたのも、地域の方々のサポートのおかげだったと感じています。

移住するまでは「田舎って距離が近そう」「人付き合いが濃そう」というイメージが強かったんです。でも、実際に来てみると全然そんなことはなくて。

適度に距離を保ってくれながらも、困っているときには親身になって助けてくれて。その“ちょうどいい距離感”が心地よくて、自然と馴染めたんです。思っていたよりずっとちょうどいい感じ。「ああ、これなら暮らしていけるな」そう思えましたね。

地域おこし協力隊を経て、現在の仕事


―――今はどんな仕事をされていますか?

インターンをきっかけに、土佐町の地域おこし協力隊として3年間、林業を一から学び関わりはじめました。任期終了後から現在まで、土佐町役場の”林政アドバイザー”として、林業政策に携わっています。

それと並行して、地域の仲間と一緒に「トサイチヨン」という林業グループを立ち上げ、自伐型林業にも取り組んでいます。ありがたいことに山の管理などを含め、土佐町の森や山をトータルで守らせてもらっていますね。今は現場よりデスクワークが中心ですが、ときどき現場に出て、自然の中で身体を動かすと、生きている実感というか、充実感に満たされます。

林業に出会い、生きる力を得た今


―――移住する前と後とでは、心境の変化はどうですか?

企業勤めをしていた頃は、毎日がルーティンで、決められたことを淡々とこなす日々でした。
でも今は、日々新しい学びがあって、とても楽しいです。

正直、移住するまでは自然に対して特別な興味があった訳ではありません。ただ、林業に関わり、さらに子どもたちへの「木育」など、未来を見据えた活動を行う中で、自分の視野がぐっと広がりました。自分たちが植えた木は、すぐに役立つものではなく、50年後、100年後にようやく活かされる。その長いスパンを見据えて、山と向き合う日々に、大きなやりがいを感じています。

ここ土佐町で僕は、新しい価値観と“生きる力”を手に入れました。

現在は地域おこし協力隊の育成にも携わっているので、自分が経験してきたことを、これから移住してくる方々にも伝えていけたらと思っています。

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