大豊町といえば吉野川のラフティング!町を歩けば、川沿いで活動するガイドさんや、移住してきてそのまま結婚・子育てを始めた方の話もよく耳にします。ガイドさんは国内だけでなく、いろんな国からも来ています。そんな背景もあって、大豊町では子どもたちに“自然と国際性”を届ける教育が特徴的なんです。
教育委員会の方に聞くと、「自然が多く、ラフティングやアウトドアが盛んな町だからこそ、自然に触れながら学ぶことを大事にしています」とのこと。国際性も、町に住む外国籍の家族や移住してきたガイドさんたちの存在から、自然に育まれているそうです。そんな大豊町の教育事情をお聞きしてきました。

―――大豊町の教育の特色を教えてください。
大豊町の義務教育は『大豊学園』という一校だけなんです。令和4年に開校して、1年目から5年目までを前期、6年目から9年目までを後期として、小学から中学までの9年間を一貫して学べます。一人の校長のもとで、児童生徒がそれぞれの力をしっかり伸ばせるように心がけています。
―――小中一貫校ってことですね。学園の中ではどんな学びがあるんですか?
大きく分けると二つあります。ひとつは『大豊をこころに刻む教育』です。町の歴史や文化、人の暮らしなど、いろんな題材を通して大豊町を学びます。町内の古民家や田んぼ、川を使った体験学習もあって、5年生では地域の農家さんと一緒に田植えや稲刈りを体験したり、地元のお祭りの飾り付けや準備を手伝ったりします。こうした体験を通して、子どもたちは『自分の町』を肌で感じ、愛着を持つようになるんです。
―――なるほど。体験を通して学ぶことが多いんですね。
はい。もうひとつが英語教育です。大豊学園では、1年生から英語に慣れ親しみ、他教科や行事とつながりをもたせながら英語学習をしています。イングリッシュ・キャンプや高知大学留学生との交流など、実践的に英語を使う機会もたくさん用意しています。
また、希望する9年生はオーストラリアへの語学研修にも行くことができます。今年は13 名が参加して9 日間滞在しました。ホームステイや現地の学校訪問、観光だけでなく、現地の子どもたちとの交流も組み込まれていますし、少人数で行くからこそ、先生の目も行き届くので、安心して学べますね。
―――希望すれば全員参加できるんですね。それは珍しいですね。
そうなんです。他の市町村では人数や成績制限があることも多いですが、大豊町は希望すれば全員行けます。少人数だからこそ、国際的な視野や他者への理解も自然と育まれますし、子どもたちは自分の将来像も考えやすくなるんですよ。
―――義務教育よりもっと幼い頃から英語に触れられる環境もあるんですか?
はい。大豊町では国際交流員を配置していますので、月に1回ほど各保育所にも来てもらい、遊びながら英語に親しむ機会を設けています。両親どちらかが外国の方でなくても、小さい頃から英語に触れられるのが特徴ですね。英語の歌や遊びを通して、自然に発音や表現を学べるよう工夫しています。
―――保護者への支援も手厚いそうですね。
0歳から18歳まで医療費は無料ですし、保育料や給食費も無料です。大豊学園に進学する際の体操着や学用品、6年生から着る制服も町が支援しています。高校生の通学費補助や、大学生・専門学校生への奨学金も拡充予定です。
経済的な理由で学びに集中できないということがないよう、保護者の負担をできるだけ減らすように取り組んでいます。少子化で児童数が少ないからこそ、丁寧な教育と手厚い支援が両立できるんです。
―――保育園はどんな環境ですか?
現在大豊町内に保育所は、町立と私立それぞれ一園ずつ。町立は大豊学園の横にあります。二園だけなので、保育園同士の交流もありますし、どちらも大豊学園との交流も積極的に行なっています。できるだけ進学したときにスムーズに学校生活を始められるよう、保育園と学校が連携することで子どもたちはもちろん、ご家族も安心して学びに集中できるかなと思っています。
―――移住して子育てを考える家庭にとっては魅力的ですね。
はい。移住してくる家庭も多いので、子育て支援や教育環境がしっかり整っているのは安心材料ですね。町の施策や教育環境を知って「大豊町で子育てしてみたい!」と思ってもらえると嬉しいです。
―――国際色豊かな環境はラフティングの町ならではですね。
そうなんです。ラフティングガイドの方が移住して結婚、子どもを育てる。その流れが大豊町の移住の始まりにもなっています。今もその流れは続いていて、地域での国際交流が日常の中で自然に育まれているんです。
いろんな背景の子どもたちが一緒に育つことで、国際的視野を持つことができ、他者への理解が深まる。これって、これから成長して社会で活躍する上で大事なことなんじゃないかなと思っています。自然豊かな大豊町でのびのび豊かに育った子どもたちが、大きくなったときにこの町をこころの拠り所にしてもらえると嬉しいですね。




