自給自足への憧れとジビエのノウハウを手にいれるため、大豊町の地域おこし協力隊に応募。ジビエの駆除から加工を働きながら学び、現在は個人事業主として鹿を使ったペットフードを製造・販売しています。DIYで家を直しながら、自分のペースで働く暮らしを送っている岡本さんに“今の暮らし”についてお伺いしました。

岡本 裕太(おかもと ゆうた)さん/ 2021年 大豊町移住
自給自足への憧れから、大豊町のジビエ事業へ
―――大豊町に移住したきっかけを教えてください
岡本さん:
もともとは北九州の方で工場勤務を10年くらいやってたんですけど、頭のなかにやりたいと思っていることがいくつもあって。そのなかのひとつが“日本一周”。それをするには仕事を辞めないとできないから、まずは仕事をやめて自転車で日本一周しました。その後に“ジビエをやりたい”っていうのを叶えるために山口県に移住。いきなりジビエを仕事にしてお金は稼げないから、まず食品会社で働いて、知識とか資格を取りながら徐々にやっていこうと思ってたんです。
“ジビエをやりたい”と思ったきっかけは、昔から自給自足に憧れてて。自分で家を建ててオフグリッドな生活をしたり、太陽光で発電したりとか、お金に頼らない生活をしたいって憧れがありました。ただ、ジビエもいろいろ調べていくうちに、有害鳥獣を捕獲しても加工して売っていかないと商売として成り立たないというのが分かったので、そのノウハウも必要になるなと気づいて。
そしたら、たまたま大豊町の地域おこし協力隊のジビエ産業枠の募集を見つけて。これだったら、お金をもらいながらこっちで技術を学んだ方がいいかもなと思ったんです。思い立ったらすぐ応募して、2021年に大豊町へ移住してきました。
他にも全国津々浦々、有害鳥獣の協力隊の募集自体はあるんですけど、ジビエ加工まで含めた自治体はその当時、僕が調べた限りだと大豊町しかなかったんですよね。大豊町でも初めての採用だったみたいで、僕がその一代目になった感じです。
猪・鹿駆除からペットフード作り、DIYな暮らし
―――今は実際どんなお仕事をされているんですか?
岡本さん:
今は地域おこし協力隊を卒業して、有害鳥獣の捕獲をしながら、それを活かしたペットフードを作っています。当初はジビエ食品をやろうと思ってたんですけど、結構難しくて。加工のハードルも高かったので、同じ町内の猪鹿工房さんにもアドバイスをもらいながら、ペットフードの製造を始めました。やってみたらうまく軌道に乗り始めたんで、それをメインにしながら生活しています。
捕獲の頻度は、年間でいうと大体週に1.5頭くらい。捕まえるのは、ほとんどが鹿です。一番捕れる時期は10月ぐらいから11月にかけて。大豊のいろんなところに罠をかけて、機械を設置するので罠にかかると通知がくる。その鹿を捕獲、処理して、ペットフードに加工します。今作っている種類は部位別で15種類くらいあって、それを日曜市やネットで販売していますね。
――今の暮らしはどんな感じですか?
家は地域おこし協力隊がほぼ決定した状態の頃、案内してもらったなかで一番ボロボロで修復しないといけないところを選びました。“自分で家を作りたい”というのが頭にあったんで、まず練習にDIYで直してみようと思って決めたんです。それからずっとそこに住んでますね。なんてったって家賃がすごい安いんですよ、5,000円。
けどそれまでDIYもほとんどしたことなかったし、思った以上にお金がかかって、何回か挫折しましたね(笑)でも卒業後のことを考えたら家賃はできるだけ安い方がいいなっていうのが最初にあったので、結果ここにしてよかったなと思ってます。
働き方は、ある意味在宅ワーク。罠のチェックに行ったり。暇だったら、ご飯作ったり、昼寝したり。時間の使い方は自由です。ただ、罠にかかったらその日中に処理をしなきゃいけないので、一応、いつでも罠の場所に行ける範囲のところにいるようにはしています。それを思っても8時間みっちり働くことって、なかなかないですね。罠の確認して解体して、終わり。一日の稼働で言えば、4、5時間くらいかも。
田舎暮らしの現実と、地域の人たちとのつながり
――大豊町で暮らしてみてどうですか?
岡本さん:
いいですよ、結構田舎で。僕の家は周りに家がないので、うるさくしても何をしても怒られないし、あんまり近所の人が「お茶飲みに来て」とかもなく、田舎の割にはそういう濃いコミュニケーションがないんですよ。田舎といっても、住む場所によってそこは変わるので、自分的には今の場所は合ってましたね。
仕事は何でもいいんだったら、お手伝いの仕事がいっぱいあります。柚子の収穫とか草刈りとか、あと山菜取りの手伝いとか、木を切ったりとかも。僕も自分の仕事が何もないときは、お手伝いの仕事として草刈りとか、土を運んだりしています。
あと僕が罠を仕掛けてるっていうのが噂で広まって、そこから「うちの近所に捕ってほしい」みたいな感じで仲良くなったり、区長さんとかに声かけてもらったりして仕事が増えている部分もあります。田舎ってそういう自然な感じで人とつながっていくんですよね。つながっていけば、野菜とかももらえたりするし、お肉もあんまり買わなくて済むし。自分も労働力を差し出したりしながら、助けあって暮らしてますね。
オフグリッド生活への準備、これからの目標
―――――これからやっていきたいことはありますか?
岡本さん:
やっぱりいつか家を作りたいんで、これからやりたいことを考えてる段階です。僕の家、今はフィルターとか何もせずに山水から水道を直接引いてるんで、ろ過装置をつけたりとか、あとはソーラーパネルつけたりとか。あとインターネットもスターリンクに変えたりとかして、地震とか停電とか起きても、僕の家は大丈夫みたいな状態にしていきたいなっていう思いはありますね。
自分の土地じゃないから、どこまでやっていいのかっていうのもあるんですけど、大家さんからは「勝手に家を建ててもいいよ」とは言われてて(笑)でも、実際まだ構想段階で、動き始めてはないっていう現状です。
やりたいことリストを作ってるわけじゃないんですけど、漠然と自分がやりたいことをやりながらのんびり過ごしていければと思ってます。
大豊は静かで鳥の声が聞こえて、すごくいいところですよ。景色もいいし、自分のペースで生活できるのが一番ですね。






